お口ポカーン
こんにちは!
高知県大豊生まれ
はちきん歯科医師 「山下雅(みやび)」です。
香川県高松市「木太デンタルクリニック」で勤務しています。
毎日暑いですね〜空梅雨のおかげで水不足が心配です。
今回は、先月させていただいた歯の講演を終えての感想です。
ママ歯科医師による歯のお話
先月、6/1に高松市牟礼町の大町コミュニティセンター(おやこひろば ぽかぽか共催)で「歯の健康」についてママ歯科医師として講演をさせていただきました。
多くのママさんが参加してくださり、オンラインで参加してくださる方もいました。
質問もたくさんしてくださり、ありがとうございました。
また、このような講演の機会を与えてくださり、感謝しています。
講演内容
今回は、小さなお子さまを持つママさんと、牟礼町の地域の方も来られるということで、伝えたいことがたくさんありすぎて…スライドを作ったものの、全部話していると絶対に時間内に終わらないことが分かっていました。なので、最初に講演項目リストを出して、参加してくださった方に聴きたい項目を言ってもらって、そこについて重点的に講演するという、初めての試みをしてみました。
結果としては…やはり時間がカツカツでした(笑)。でも、自分が考えた『参加者の聴きたいこと』と、参加者の『本当に聴きたいこと』との違いを知れて、よかったかなと思います。
質問タイムで感じたこと
講演後の質問タイムでは、参加者の方が積極的に質問してくださり、私自身も大変勉強になりました。
そして、その中で感じたのが、お子さまのお口に関する質問で、「歯並び」や「お口ポカン」に関するお悩みが増えているなということです。
「子どもの歯並びが悪いけれど、矯正治療するしかないですか?何か家でできることはありませんか?」
「子どもがお口ポカンで悩んでいます。改善するためのレッスンを受けているものの、はっきりとした効果がなかなか見られなくて…」
子どものお口の悩みといえば「むし歯」のイメージでしたが、こんなにも歯並びや口腔習癖での深刻なお悩みが多いとは驚きでした。
私も実際にそのお子さまを診たわけではないですし、現在のお口・全身の状態や年齢によって対処方法は異なります。限られた質問タイムの時間内で詳しく聞くことも難しく、『これをしたら治りますよ!』といったズバッとした解決方法をお伝えすることはできませんでした。
ありきたりですが、矯正治療を行なっている歯科医院や、小児歯科でそういったお口の機能の改善に取り組んでいる歯科医院を受診して、診断・説明をうけて治療を行っていくのが、一番いい方法かとは思います。
お口ポカン
「お口ポカン」というのは、普段お口がポカンと開いている状態のことを指します。
私達人間は、通常であれば、喋ったりしていない時は、舌が上顎にひっついてお口が閉じ、鼻呼吸をしているのが正常といわれています。しかし、いろんな要因が重なり、喋ったりしていない時に、舌が上顎から離れ下に落ち(これを「低位舌」といいます)、お口がポカンと開いて、口呼吸をしている状態になってしまうことを「お口ポカン」と言います。
えー?うちの子はお口閉じてるはず…?と思っている方。お子さまがぼーっとテレビを見ている時なんかにチェックすると、意外にお口が開いている場合が多いですので、チェックしてみてくださいね。
お口がポカーンと開いていると、ちょっとだらしないような、まぬけな印象もするけど…それの何がそんなに悪いの?と思うかもしれません。
「お口ポカン」自体がどうこというよりは、お口ポカンというのは普段から口呼吸をしていることで現れる現象の1つです。この、口呼吸が日常化してしまうことによって身体にさまざまな悪影響が起こります。
もちろん、口呼吸だと死んでしまう!!みたいな、すぐに命を脅かすようなことはありません。しかし、健康に生きていくためには、お口を閉じて鼻呼吸をするということがとても大切です。
口呼吸のデメリット
- まずは、口呼吸をすることで、外気のウイルスや病原菌、乾いた空気、異物などを身体内にそのまま取り込んでしまうことが挙げられます。これにより、喉の乾燥や、花粉症、風邪にかかりやすくなってしまいます。鼻呼吸の場合は、鼻腔を通過する間に、優れた防御システムによって外気のウイルス等の異物や花粉をブロックし、乾燥した空気を加湿して体内に取り込んでくれます。
- 口が開いていることで、お口の中が乾燥して、口臭の原因になる、むし歯になりやすくなる、着色がつきやすくなる、歯肉炎や歯周病になりやすくなる
- 舌が下がっていることで睡眠時にいびきをかきやすい。深い睡眠が得られない、睡眠の質が下がる。舌でのどを塞いでしまう睡眠時無呼吸症候群を発症すると、脳が一時的な無酸素状態となり、日中の激しい眠気などパフォーマンスにもかなりの影響が出てくる。
- 口呼吸では酸素をしっかり取り込めてないことにより、疲れやすい身体になる。鼻呼吸の場合は代謝が上がり痩せやすい身体に。
- 舌の筋肉が衰えて、滑舌が悪いなどの発音障害が起こる
- 低位舌が原因で、物を飲み込む時に下で前歯を押してしまい、開口(奥歯が噛んでいるのに前歯が噛んでいない歯並び)になる場合も
お口ポカンの改善
最近では、姿勢や鼻呼吸の重要さが見直されて、その改善に特化したオンラインレッスンなどを個人で行なっている方も増えてきているようですね。
私も歯科医院で小児矯正治療を行っており、低位舌が原因と思われる歯並びを、矯正装置とお口の体操を併用して改善する治療は行なっています。
ただ、歯並びにさほどまだ影響が出ていない状態でのお口ポカンのみの改善となると、まだまだ経験や知識が十分ではなく、自信を持って「治せますよ!」とは言えません。
実は私の2歳半の息子もお口ポカンです。テレビを見ている時などはポカーンとお口が開いています。ただ、歯並びにはまだ大きな影響がある段階ではなく、まだ矯正装置を使えるような年齢でもありません。ただ、職業柄、鼻呼吸の大切さを知っており、また、私自身が口呼吸であるため(笑)、息子には少しでも健康に育ってほしいと思い、口呼吸改善のオンラインレッスンを受けつつ学んでいます。大人になってからの習癖の改善は難しいですからね…
そのレッスンは、ご縁があり以前から知っている元衛生士さんが行なっているものです。(興味がある方は聞いてください)
先生(レッスンを受けているのでそう呼ばせていただいています)によると、お口ポカンの原因はお口だけではなく、母親の骨盤の歪み、胎児の頃の姿勢からくる身体の歪みやコリなど、さまざまな要因からなってしまうそう。そのため、身体のコリをほぐす方法や、姿勢を整える運動(遊び)をレッスンでは教わっています。
この「遊び(トレーニングというべき?)」にさまざまな方法があり、年齢や子どもの身体発育状況、興味によってどのメニューを選択していくのかが、毎回のレッスンで大切であり難しいポイントだなといつも感じています。先生の知識や経験の豊富さ、声かけやアイデア等の引き出しの多さに圧倒されます。
私ももっと勉強して、治せるようになりたいと精進中です。
また、歯科医院でもこの分野は注目されてきていますが、全ての歯科医院が「お口ポカン」などの口腔習癖の改善を得意とするわけではありません。なので、ホームページなどで予め調べて、こういった分野の治療が得意かどうかチェックする必要があるかと思います。
気になることがあれば何でも聞いてくださいね。
診察で女医希望の場合は、電話でご予約の際に女医希望とお伝えください。
私情で大変申し訳ありませんが、8月は産休のためお休みさせていただきます。
よろしくお願いします。