乳歯が1歳で抜けちゃう病気!?
こんにちは!
高知県大豊生まれ
はちきん歯科医師 「山下雅(みやび)」です。
香川県高松市「木太デンタルクリニック」で勤務しています。
厳しい寒さも少し和らいできたように感じます。が、寒さに激弱な私の部屋着はまだまだユニクロのフリースとボアスウェットパンツを愛用中です。
今回は、ちょっと珍しい病気から関連して、乳歯の大切さについて書こうと思います。
低ホスファターゼ症
聞いたことある人いますか??
おそらく、歯科関係者や医科関係者じゃないと、なかなか知らない病気だと思います。私も、大学の授業で習ったくらいで、実際に患者さんに巡り合ったことはありません。
低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia : HPP)は、遺伝子の機能欠損変異によって発症する、全身性の遺伝性代謝性疾患です。端的に言うと、骨の石灰化が障害される病気で、軽度から重度まで症状はとても幅が広いです。
子宮内及び出生時から発症する周産期型(重症型及び良性型)、生後6ヶ月までに発症する乳児型、6ヶ月〜18歳未満で発症する小児型、18歳以上で発症する成人型、歯のみに症状が現れる歯限局型に分類されます。
重症型は全国で100〜200人ほどです。軽症型の患者数は明らかになってはいませんが、歯限局型に関しては、HPPであるという診断自体に至っていない方も大変多いと推測されています。
確定診断には「骨石灰化障害」と「乳歯早期脱落」の症状のうち1つ以上+遺伝子検査が有効とされています。
歯科的症状としては、1〜4歳にかけて乳歯が早期脱落(早くに抜けてしまうこと)が挙げられます。
低ホスファターゼ症の乳歯の早期脱落への対処法
乳歯は生後6ヶ月頃から生え始め、6歳頃から生え変わり始めます。(個人差があります)
しかし、それよりも前に乳歯が抜けてしまった場合、抜けた乳歯の歯の数や場所にもよりますが、審美障害や発音障害、咀嚼機能の低下がみられる場合には部分入れ歯を使います。
乳歯の大切さ
乳歯なんてどうせ生え変わるし、抜けても虫歯になってもいいんじゃないの?
そう考える方もいるかもしれません。
子どもが歯を失う原因としては、外傷(ぶつけてしまうこと)やむし歯などが挙げられます。
乳歯が早くに抜けてしまうと、前歯などでは審美障害(見た目が気になる)や、前歯でものを噛みきれない、臼歯で食べ物が噛めないなどの咀嚼障害が起こることがあります。
また、抜けた乳歯の隣の歯が、空いたスペースに寄ってきて、その後に生えてくる大人の歯が生えてこれなかったり、歯並びがガタガタになってしまう場合もあります。
外傷はどうしても子どもには起こりがちで、前歯を打ってしまうケースが多いです。
前歯1本くらいが外傷によって抜けてしまった場合であれば、見た目が気にならないで食事も問題ないようであれば、そのまま経過観察をすることが多いかもしれません。
ただ、やはり、歯科医院を定期的に受診観察して、歯の生え替わりの時期には、必要に応じて乳歯を抜いたりしてサポートをしてあげることが大切です。
また、むし歯などで乳臼歯を抜いた場合、その歯が生えていたスペースを維持するために部分的な固定式装置を保険で装着することがあります。
乳歯の意味
なんで歯って生え替わるんでしょうか…??
ありがたいような、面倒くさいような。
でも、乳歯って、その子の生活習慣や食習慣のバロメーターになってくれるんですね。
例えば、乳歯にむし歯ができたとしたら、「このままの生活習慣でいいの?このままだと永久歯がむし歯になっちゃうよ?」
そうやって、永久歯に生え替わる前に、生活を振り返るチャンスを与えてくれる存在だと思います。
一番早い歯で6歳から生えて、その後一生使う永久歯。むし歯になってしまうと、多くの歯は治療を繰り返すことになり、最終的には抜歯になってしまうことも。インプラントや入れ歯もありますが、自分の歯で噛むのが一番!です。
なので、乳歯にむし歯ができたら、「どうせ生え替わるし、いいや」ではなく、「何かしら原因があるはず。今のうちに改善して、永久歯はむし歯にならないようにしよう」と思っていただきたいです。
むし歯になる原因はいろいろあります。
気付いていない原因があったりもしますので、どう対処していったらいいか、歯科医院で一緒に考えていきましょう。
気になることがあれば何でも聞いてくださいね。
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