余分な歯、「過剰歯(かじょうし)」ってなに?
こんにちは!
高知県大豊生まれ
はちきん歯科医師 「山下雅(みやび)」です。
香川県高松市「木太デンタルクリニック」で勤務しています。
昼間は暑いですが、朝晩は少し涼しくなってきましたね♪
今回は、「過剰歯」について書きます。
過剰歯って?
「過剰歯(かじょうし)」って聞いたことありますか?
字のごとく、「過剰な歯」なのですが、集団健診では見つかりにくい厄介なものです。
何かのタイミングで、歯科医院でレントゲン写真を撮った時に歯科医師から「過剰歯があるかもしれない」と言われて初めて知るパターンが多いと思います。
「過剰歯」とは、乳歯20本、永久歯28本(親知らずを含めると32本)以上の余分な歯のことです。
30〜40人に1人の割合で過剰歯がある人がいますので、クラスに1人くらいの割合。そんなに珍しいわけでもありません。
原因は、顎の中で歯が作られる段階において、歯の卵ともいえる「歯杯(しはい)」が余分に作られたり、2つに分かれたりしてできると考えられていますが、はっきりとはわかっていません。
過剰歯の種類
男女比だと3:1の割合で男子に多くみられます。
発生部位は、上顎の前歯部が98.4%と最も多く、ついで下顎の前歯部が0.6%、上顎の犬歯部と上顎の臼歯部が0.4%ずつ、下顎の犬歯部と下顎の臼歯部が0.1%ずつの順です。(2018年小児歯科学雑誌より)
歯の形そっくりなものから、細く小さいものまでさまざまです。
生えてくるタイプと、顎の骨の中で埋もれているタイプがあります。
他の正常な歯と同じ向きであると「順生過剰歯」とよび、逆方向だと「逆生過剰歯」とよびます。これは半々の確率だそうです。
治療方法
純正過剰歯の場合は、そのまま生えてくることも多いため、生えてくるのを待って抜歯することが一般的です。
過剰歯が生えてきた場合に、歯列に収まる可能性が非常に少なく、歯並びがガタガタになったりかみ合わせに影響することが多いからです。
逆生過剰歯の場合は、自然に生えてくることはほとんど期待できません。
発生頻度が一番高い、上顎の前歯部の過剰歯が逆生の場合、時間の経過とともに、鼻の方向へ深い位置に潜り込んでいくこともあり、遅くなると抜歯が難しくなってしまいます。下にまとめた⑥の例です。
ただし、歯並びなどに影響がなく、過剰歯が鼻部分に到達していない場合は、抜歯せずに定期的なレントゲン撮影で経過観察ということもあります。
先ほど書いた内容とかぶる部分もありますが
抜歯が必要になる過剰歯は以下のような場合です。
①近くの永久歯の生える方向に存在する場合、永久歯が生えることを妨害してしまう
②近くの永久歯を押すことで歯並びが悪くなりかみ合わせが悪くなる原因になる
③歯科矯正治療を行う場合は、過剰歯があると歯が動かせないことがある
④歯と歯の間に過剰歯が存在すると、すき間ができてしまい閉じない場合がある
⑤乳歯の歯根を吸収してしまい、早くに乳歯が抜けてしまう
⑥鼻の方向に過剰歯が移動し、鼻の中に生える場合がある
⑦埋まったままの過剰歯は、含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)とよばれる、埋まっている歯を巻き込んで大きくなっていく袋の形をした病変を起こすことがある。自覚症状がなく、レントゲン写真を撮影して発見されることが多い病変。小学生から中学生、高齢者でもみられることがあります。場合によっては細菌感染を起こすことがあり、腫れる場合がある。
永久歯に悪い影響を与えてしまっている場合は、口腔外科などで抜歯することをオススメします。ただ、歯並びなどに影響がなく、その他も問題がない場合は、抜歯せずに定期的なレントゲン撮影で経過観察ということもあります。
過剰歯にもいろいろあります。
すべて抜かなければいけないわけではないので、しっかり歯科医師に説明してもらってくださいね。
最後に
今回は、あまり聞かないけど珍しいことでもない「過剰歯」について書いてみました。
もし、分からないことがあれば、歯科医院で相談してみてくださいね。
お悩みが1つでも解決すればいいなと思っています。 診察で女医希望の場合は、電話でご予約の際に女医希望とお伝えください。診療できない曜日や時間帯があります。