夏の水分補給について
こんにちは!
高知県大豊生まれ
はちきん歯科医師 「山下雅(みやび)」です。
香川県高松市「木太デンタルクリニック」で勤務しています。
子どもたちの楽しい楽しい夏休みもあと少し。小学生、中学生のお子さんの宿題は無事に終わりそうでしょうか…??笑
今回は、水分補給について書きたいと思います。
子供の水分補給
少しだけ暑さのピークを超えたような気もしないではない今日この頃。でも、まだまだ暑く、日中は外にいるだけでサウナのよう。外で遊ぶことも危ないと感じることもあります。
屋外はもちろん、屋内にいてもすぐに喉が乾きます。
子どもの身体は大人に比べて必要とする水の割合が高く、体内の水分を調節する機能も未熟なため、脱水状態に陥りやすいのが特徴です。
また、のどの渇きをうまく伝えられなかったり、遊びに夢中になってのどが渇いたことも自体も忘れてしまうため、積極的に定期的な水分補給の声かけをしてあげる必要があります。
「のどが渇いた」と感じるのはすでに身体の水分が不足しはじめているサインですので、のどの渇きを感じる前に水分補給できるといいですね。
さて、その水分補給ですが、みなさん、なにを飲ませていますか?
水?麦茶?
汗をかくとイオンやミネラルも排出されてしまうから、それも補給できるイオン飲料?スポーツドリンク?
2021年4月のブログ「砂糖摂取と哺乳瓶う蝕」で、イオン飲料について書いていますが、年々暑さが増していって、熱中症予防の観点からも水分補給は大切ですので、改めて書こうと思います。
何を飲ませるのか?
- 水
王道の水。小さな子どもでも飲ませることができます。
- 緑茶、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶
これらのお茶には、カフェインが入っています。カフェインは子どもは摂りすぎに注意する必要があるので、水分補給として大量に飲むのは控えましょう。
- 麦茶
「ミネラルが含まれている」と思われがちな(私も親に言われたし、そう思っていた)麦茶ですが、調べてみると緑茶などと比較しても特にミネラルが多く含まれているわけではありませんでした。ただ、茶葉ではなく麦を原料としているため、カフェインは含まれていません。その点で、小さな子どもにも安心して飲ませることができますね。
- イオン飲料
次の項目で詳しく書きますが、カリウムやナトリウムなどの電解質を含む飲み物のことです。主に「経口補水液」と「スポーツドリンク」に分類されます。
- 市販のジュース
糖分が非常に多く、水分補給というより嗜好品としてとらえましょう。
イオン飲料とスポーツドリンク
※「乳児用のイオン飲料」が他の2種類と少し成分に違いがあったため、表に入れてみました。
ちなみに、スポーツドリンクには、成分の違う「アイソトニック」と「ハイポトニック」の2種類があるようです。今回は、子どもの水分補給として選ばれやすいものを対象にしますので省きますが、気になるかたは調べてみてくださいね♪
イオン飲料は、テレビコマーシャルなどの影響で、「体にいいもの」「ただの水を飲むよりもイオンが入っているから体によさそう」などのイメージがあるかと思います。
しかし、水分補給のために水の代わりにイオン飲料を日常的に与えるのは、ちょっとよくないです。
理由はそれぞれの飲料の成分にあります。
まずは「スポーツドリンク」ですが、こちらは名前の通り、激しい運動をした時に、電解質とエネルギー(=糖分)を補給するのに有効です。
なので、意外にも砂糖が大量に含まれています。
500mlペットボトルに換算すると、ポカリスエットは31.0g、アクエリアス23.5gもの糖分が含まれています。スティックシュガー1本で砂糖3gなので、8〜10本分といったところでしょうか。WHOによると、砂糖の摂取量は「1日の総摂取カロリーの5%未満を推奨」となっています。成人であれば大体1日25gまでならOK。1〜2歳なら12〜13g、3〜5歳なら15〜18gまでが目安です。
500ml入りのペットボトルを半分飲んだだけで、あっという間に砂糖の1日摂取量に達したり、超えてしまいます…!!
これだけ砂糖が含まれていてもすっきりゴクゴク飲めるのは、スポーツドリンクに酸味があるからです。そして、コーラと同じくらい酸性なので、水分補給として習慣的に飲んでいると、歯の表面が溶け出して、砂糖によって増えたむし歯菌によって歯に穴が空いてしまいます。
また、体は摂取した糖分を分解するためにビタミンB1を消費します。大量に糖分を摂ると、ビタミンB1が不足してしまい、夏バテを起こしやすい体になってしまいます。
では、「経口補水液」なら、糖分も少ないですし、いいのでしょうか?
経口補水液は、嘔吐・下痢などによるものも含む軽度〜中等度の脱水症状の時に体にすばやく水と電解質の補給に有効です。「飲む点滴」とも言われます。
しかし、ナトリウムやカリウムなどの電解質が多いため、脱水状態が改善し、普段生活する分には、塩分(=ナトリウム)の過剰摂取となってしまう可能性があります。
「乳児用イオン飲料」は、糖分、塩分ともに高いです。
電解質の補給はできると思いますが、乳幼児が飲みやすい甘さにしているようです。
普通の経口補水液って飲んだことありますか?そんなに甘くなくてしょっぱさを感じたと思います。なので、乳幼児が脱水状態の時、経口補水液を嫌がる場合に乳児用イオン飲料を飲ませるのはアリかと思います。
小児歯科学会の見解
日本小児歯科学会は、特に乳幼児に対しては、イオン飲料を水の代わりに使用しないことを推奨しています。
結論としては、子どもが外や室内で、走りまわったりと激しい遊びをするのであれば、水、麦茶、そしてスポーツドリンクもありだと思います。
しかし、室内で普通に過ごしている時や、乳幼児なんかは、スポーツドリンクではなく水か麦茶で水分補給をおすすめします。
その他気をつけることとしては、飲み物の温度です。高温の環境での水分補給は5℃〜15℃のようですので、キンキンに冷えた氷水!!よりは冷蔵庫で冷やした飲み物がいいかと思います。
最後に
今回は、夏の熱中症予防に欠かせない水分補給について書いてみました。健康に気をつけて楽しい夏を過ごしましょう!
もし、分からないことがあれば、歯科医院で相談してみてくださいね。
お悩みが1つでも解決すればいいなと思っています。
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